アメリカ国民

アメリカ合衆国は元々先住民族であるネイティブ・アメリカンが住んでいた土地に、16世紀からはヨーロッパからの植民者が、17〜19世紀には奴隷貿易によりアフリカからの黒人奴隷が、19世紀からはアジアからの移民が入って来て、さらに人種間で混血が起ったため、「人種のるつぼ」と呼ばれてきたが、実際には異人種が融け合って生活する社会が形成されるよりも、「ゲットー」と称されるアフリカ系アメリカ人居住地域やチャイナタウンが代表するように、むしろ人種による住み分けが起きていることから、近年ではアメリカ合衆国を色々な野菜が入ったサラダに例えて「人種のサラダボウル」と呼ぶことが多くなった。

こうした中で人種差別問題、特にヘイトクライムと呼ばれる人種差別主義者による凶悪犯罪が頻繁に発生し、大きな社会問題となっている他、南部や中西部を中心にKKKなどの人種差別的な団体が未だ半ば公然と活動している地域も存在する。また、アフリカ系の死刑執行率がヨーロッパ系に比べて極端に高いなど、裁判制度の不公平性も問題となっている。

現在も合法違法を問わず移民が多いことに加え、アメリカの合計特殊出生率は2.0〜2.1前後で横ばいに推移しており非常に安定している。2005年度の合計特殊出生率は2.05と先進国の中ではトップクラスである(移民層の出生率が2.71と高いが、アメリカ合衆国で生まれた女性の出生率も1.98、白人女性に限っても1.85と先進国の中では高い)。以上のことから、人口は自然増、社会増双方の要因により増加し続けている。2006年には総人口が3億人を超えたと公式に発表された。

人種

世界でも有数の多民族国家である。2005年の人口統計によると、白人(ヨーロッパ系、北アフリカ系、中東系、中央アジア系、ラテン系)74.7%(2億1530万人)、サハラ以南のアフリカ系(黒人)12.1%(3490万人)、アジア系(東アジア、東南アジア、南アジア系)4.3%(1250万人)、アメリカン・インディアン0.8%(240万人)、太平洋地域の先住民系0.1%(40万人)、2つ以上の人種を祖先とする国民1.9%(560万人)、その他6%(1730万人)。ヒスパニック系(全ての人種)は14.5%(4190万人)となっている。

アメリカは英語圏であるためにイギリス系が多いと思われがちだが一番多いのはドイツ系でその次はアイルランド系である。歴代大統領にはイギリス系以外にアイルランド系やドイツ系とオランダ系とギリシャ系が就任しており、そして2009年時点の現職はアフリカ系である。

アメリカにおける各人種系統ごとの人口(2004年)

順位 系統 人口
1 ドイツ系アメリカ人 42,800,000
2 アイルランド系アメリカ人 30,520,000
3 イギリス系アメリカ人 24,510,000
4 アメリカ人 20,190,000
5 メキシコ系アメリカ人 18,380,000
6 イタリア系アメリカ人 15,640,000
7 ポーランド系アメリカ人 8,980,000
8 フランス系アメリカ人 8,310,000
9 インディアン 7,880,000
10 スコットランド系アメリカ人 4,320,000
11 オランダ系アメリカ人 4,540,000
12 ノルウェー系アメリカ人 4,480,000
13 スコットランド系アイルランド人 4,320,000
14 スウェーデン系アメリカ人 4,000,000
15 白人 3,830,000
16 プエルトリコ系アメリカ人 2,650,000
17 ロシア系アメリカ人 2,650,000
18 ヒスパニック系アメリカ人 2,450,000
19 フランス系カナダ人 2,350,000
20 中国系アメリカ人 2,270,000
21 スペイン系アメリカ人 2,190,000
22 フィリピン系アメリカ人 2,120,000
23 ヨーロッパ系アメリカ人 1,970,000
24 ウェールズ系アメリカ人 1,750,000
25 アジア系インディアン 1,550,000
26 デンマーク系アメリカ人 1,430,000
27 ハンガリー系アメリカ人 1,400,000
28 チェコ系アメリカ人 1,260,000
29 韓国系アメリカ人 1,190,000
30 アフリカ人 1,180,000
31 ポルトガル系アメリカ人 1,170,000
32 ギリシャ系アメリカ人 1,150,000
33 日系アメリカ人 1,100,000
34 キューバ系アメリカ人 1,100,000
35 英国人 1,090,000
36 ベトナム系アメリカ人 1,030,000
37 スイス系アメリカ人 910,000
38 ドミニカ系アメリカ人 910,000

言語

アメリカ合衆国には法で定められた公用語はないが、建国の歴史から英語が事実上の国語となっている。2003年には、約2億1500万人(5歳以上の全国民の82%)が家庭で英語のみを使用している。 英語を母語としない国民でもほとんどが英語を日常的に使用している。高齢者を除き、基本的な英語の知識は市民権取得の必須条件である。スペイン語の話者は英語についで多く、国内でもっとも学習者の多い外国語でもある。近年増加傾向にある中南米スペイン語諸国からの移民であるヒスパニックには、英語を不自由なく喋ることのできない者も多いため、銀行のATMやスーパーマーケットのセルフレジなどではスペイン語が選択できるようになっているものも多い。長年にわたる先住民の同化政策の結果、先住民の言語を話せる人口は非常に少なくなっており、中には絶滅した言語もある。

アメリカ人の中には英語を連邦の正式な公用語とすることを希望する者が多く、現在30州が英語を公用語に指定している。また、ニューメキシコ、ルイジアナ、メイン、ハワイの4州では行政上英語以外の言語が事実上の第二言語とされている。ハワイ州では州憲法によりハワイ語が公用語とされており、ルイジアナ州とメイン州ではフランス語が行政上の第二言語である。合衆国加入当時からスペイン(メキシコ)系住民の多いニューメキシコ州は常にスペイン語を非公式な第二公用語としてきた。